おい!河童 - 遠山海月

内容紹介
「おい! 河童。毎日悪さばかりしてないで、今日はわしとすもうの勝負をしてみないか?」
すると川の奥で影がゆれてそれが水面に近づくとついに河童があらわれた。
河童はぎょろっとした目で長老をにらむと言った。
「悪さだと? 勝手に川に橋をかけるおまえらがいけないんじゃないか。あんなじゃまなもの俺さまがなんどでもこわしてやる」
「橋は村にとって大事なもんなんじゃ。橋がなかったらわしらは生活できなくなってしまう」
「そんなことあるもんか。橋なんかなくたって、昔みたいに俺さまがかついで川を渡らせてやるさ。おまえだってそうやって川を渡ってたじゃないか」
「むちゃを言っちゃあいかん。昔とちがって今は人だけじゃない、荷車や馬車も川を渡るんだ。とてもおまえさん一人でかかえきれんて」
「昔はそんなもんなかったぞ。あの頃みたいなくらしをすれば問題なかろう」
「一度便利になった生活をすてることはできんのじゃよ。わしらの頃とは時代がかわったのじゃ。おまえさんもわかるじゃろ」
「わからんね。昔も今も俺さまはちっともかわっちゃいないんだ」
第1回童話と絵本コンテスト優秀賞受賞作品
『おい!河童』
むかしむかしのおはなし。
その村の川には大きな河童がいたそうな。
編集部より
とある小さな村の大きな川には、大きな河童が住んでいた。
けれど河童は、村人が川に橋をかけたのが許せず、橋を壊してしまう。
そんな悪さをする河童に、昔からの付き合いの村長は相撲で真剣勝負を持ち掛けて……。
いたずら好きな河童だけれど、本当は村人が大好きな天邪鬼な河童がちょっぴりかわいい!
小さな村と河童のほのぼの癒されるストーリーです。