規格外のおてんば王女ですが、猫をかぶって寵愛を受けます! - 新道梨果子
内容紹介
「早馬に乗って、一人で入国できたら良かったのに……」
セレンのそのつぶやきに、二人の侍女はこめかみに手を当てて目を閉じ眉根を寄せた。
「どこの世界に、馬を操って輿入れする王女がいるんですか」
「なにを言い出すかと思えば」
そう、マッティア王国第一王女であるセレンは、今から隣国クラッセに輿入れする。
そのための馬車、そのためのこのドレスの重装備だ。
きっといろんな国の王女がセレンと同じように、嫁ぎ先であるどこかの国に輿入れしてきたのだろう。
そしてこのおしりの痛さに耐えてきたのだろう。
けれど世界は広いのだ。世界の端は誰も見たことがない。
つまり、馬に乗って輿入れする王女だって、見たことがないだけで探せばいるかもしれない。
いや、きっといる。だっておしりが痛いから。
小国マッティアの王女セレンは、ぜひにと望まれて大国クラッセに嫁ぐことになった。
しかしセレンは幼い頃に、クラッセ王城で開催された舞踏会で大暴れした経験があり、なぜ自分が王妃にと望まれたのかがわからない。
「ああ、なんか面倒なことに巻き込まれているんじゃないわよねえ」
「怖いこと言わないでくださいよ、姫さま……」
疑問を抱いたまま入城し、気弱だけど心優しい王、レグルスとあいさつを交わす。
おてんばを隠し、猫をかぶって妃らしくあろうとするセレンだったのだが……後宮には一人の謎の女性が住んでいた。
絡んでくるその女性に業を煮やし、「寵愛を受けるって、どうやったらいいの?」と、そんな女には負けないと鼻息荒くするセレン。
気弱で優しすぎる王レグルスと、おてんばで猫かぶりのセレンが、永遠の愛を見つけるまでの物語。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
お転婆で気が強い、小国マッティアの王女・セレンは、強く望まれ大国クラッセに嫁ぐことになります。
婚姻の相手は、優しいけれど気弱な王、レグルス。
おしりの痛みに耐えながら辿りついたクラッセで始まった新生活。しかし後宮にはなぜかもう一人、女の人が住んでいました。
お転婆な本性を隠して妃らしくあろうとしながら、謎の側室(?)の女性に対抗心を燃やすセレンでしたが……?
電子書籍版では書き下ろしを追加!
本編後日譚にあたる『王は王妃の邪魔をする』を収録。
未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!