イケメン王子がいる水没寸前の王国で、日本語を教えることになりました! - 麻月りお
内容紹介
「今日着任された日本語教師の明日香・桜井様です」
そしてマリアは明日香にも王子を紹介した。
「明日香様、こちらがフィリップ王子。この国で国王陛下に次ぐお力をお持ちです」
「どうぞよろしくお願いします」
と、頭を上げた明日香は驚いてしまう。
「えっ? もしかしてフィリップさん? あなた、この国の王子様だったの……?」
「はい、明日香先生、お久しぶりでございます。お元気でいらっしゃいましたか?」
右腕を胸に当て、右足を少し後ろに引く古風な挨拶。彼は間違いなく、以前日本語学校にいたあのフィリップだ。
目を見開く明日香に、彼は続けて言う。
「先生、すみません。俺が父にあなたのことを話したばかりに、選ばれてしまったのですね」
「どういうこと?」
「遠くまで来ていただいたのに、申し訳ございませんが、もうお帰りくださってけっこうです」
「は……?」
『求む、熱血教師。親日のマバル国は、国民一同日本人の先生をお待ちしています』
日本で日本語教師をしている明日香は生徒をうまく指導できなかったこともあり、校長から転職を考えたらどうかと言われてしまった。海外で日本語教師をしたいと求人を探していたところ、マバル国のオーバーなキャッチコピーに惹かれて応募する。しかしいくら待っても採用通知が来ることはなかった。
そうこうするうちになんとか仕事は軌道に乗り、転職のことなど忘れた半年後、マバル国の日本語教師採用通知が届いていることに気づいた明日香だが、その国は大西洋に浮かぶ孤島で地球温暖化の影響により水没の危機に瀕しているヤバイ国らしい。断ろうとした矢先、スーツの男に拉致同然でマバル国に連れていかれてしまった!
マバル国王の話によると、マバル国民を2年後に日本へ移住させる計画を立てており、それまでに全国民が日本語を使えるよう明日香に依頼したいとのことだ。しかし日本語はそんなに簡単ではないのだ。頭を抱えるものの国王の期待に応えようと頑張る明日香。元教え子でイケメンのフィリップがマバル国の王子だということが判明したことで孤独は和らいだものの、誰かに嫌がらせをされたり、貴族だけにしか授業の場が与えられていなかったり、国民が暴動を起こしたりと、問題は次から次へとやってくる。
平凡な日本語教師の明日香は、危機に瀕したマバル国を救うことができるのか。イケメン王子との恋の行方は――? 次々と明日香を襲う展開にハラハラドキドキが止まらない!
編集部より
ミーティアノベルス書き下ろし作品!
大西洋に浮かぶ王国・「マバル国」。その全国民にたった2年間で日本語を教えなくてはならなくなった日本語教師・明日香。
ただでさえ習得難易度の高い日本語を教えなくてはならないことに加え、次々とトラブルも発生します。
そして、かつての教え子でマバル王子であるフィリップとのロマンスも──?
果たして、明日香の運命は……ぜひ本編をお楽しみください!