婚約破棄された令嬢は野獣辺境伯へ嫁ぐ! - かのん

内容紹介
「お前には、辺境伯に嫁ぐことを命じる」
私はその言葉に思わず、ごくりと令嬢らしからぬ生唾を飲み込んでしまいます。
え、何ですって。
辺境伯って、あの、辺境伯様でしょうか?
ひそひそとした声が会場に響き渡ります。
「辺境伯と言えばあの醜い顔の?」
「野獣のような人だとか」
「なんと、ヴィオレッタ様、おいたわしや」
嘆く声が会場に響いて聞こえました。
ですが、その反応とは裏腹に私のテンションは上がって行きます。
まぁまぁまぁまぁまぁ! 殿下! ぐっじょーぶ! 何という事でしょうか。あの辺境伯様!
辺境伯様と言えば、南の国境を守り抜く鬼神のごとき強靭な肉体を持つお方です。
その外見は、野獣や鬼に例えられることが多く、顔には戦いで負った傷が刻まれています。
一度だけその姿を拝見したことのある私は、その姿を一目見て胸がきゅんとしたのを覚えています。
一睨みで人を射殺しそうな程の眼光の鋭さ、強靭な肉体。
はぅっ。想像しただけで鼻血がでそうです。
妖精姫と名高いヴィオレッタ・バレンタインは王太子妃としての教育を八年間耐え抜いてきた。しかし、そんな苦労を、王子は婚約破棄という形で打ち砕く。その上、野獣辺境伯の元へと嫁ぐように命じられてしまう。
普通の令嬢ならば涙したであろうが、野獣辺境伯のような逞しく雄々しい男が大の好みなヴィオレッタは歓喜した。
『殿下! ぐっじょーぶ!』と内心で大喜びしながら、ヴィオレッタは南の砦である辺境伯の元へと向かうのであった。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
十歳の頃に王太子と婚約してから八年。ヴィオレッタは婚約破棄を言い渡されます。
あてつけのように選ばれた新たな婚約者は、〝野獣〟辺境伯・バッセンでした。
周囲の者が嘲ったり哀れんだりする中、ヴィオレッタは内心で大喜び。
なぜなら鬼神のごとき強靭な肉体を持つバッセンは、ひょろひょろスマートな王太子殿下よりも俄然ヴィオレッタの好みだったからです。
しかし当のバッセンは(こんな辺境の砦で幸せに暮らしていけるわけがない。こんな可憐な少女が自分の事など好きになるわけがない)と頭を抱えてしまい……!? 二人の行方をぜひお楽しみください!