ロンドン奇跡の恋物語 ~遥かなる遠い君との約束~ - 夏目夕子
内容紹介
イギリスに着いた途端、警察へ行くなんて考えもしなかった。ますます全身から力が抜ける。
しかし美しいブロンドの青年はそんな私を気遣うように指をさした。
「心配はいりません。警察といってもこの空港内にありますから。出張所のような所です。ほら、あそこ」
優しく微笑んだ顔はどこまでもハンサムで、モデルのように整っている。薄いパープルのシャツに紺のパンツ、茶色のロングレザーコートをざっくりと羽織っていた。首には赤いマフラーを無造作に巻き、まるで海外のファッション誌から抜け出してきたようだ。
手には透明なファイルケースに入った楽譜を持っていた。音楽関係の仕事でもしているのだろうか。
大学院生の沙織は、教授から頼まれた仕事のためにロンドンに一ヶ月滞在することになった。ヒースロー空港に到着後すぐにスーツケースを盗られて困っていたところ、流暢な日本語で声をかけてくれた背の高いブロンドヘアの美青年ダニエルが警察まで案内してくれ、滞在先のホテルまで送ってくれた。
もう一度彼に会いたくて彼から聞いたことをヒントにしながら仕事の合間にロンドン中を捜しまわるが見つけることができない。諦めかけた時にふと聞こえてきた音楽に引き寄せられていくと、見たこともない楽器を演奏していた数人の若者。その中にずっと探していたダニエルがおり、彼は楽しそうにバイオリンを弾きながら指揮をしていた。
ようやくダニエルと再会できた沙織は彼を誘っていろいろと出かけるうちに彼に惹かれていく。そんなある日、ダニエルからアイルランドへ行こうと誘われ、そのアイルランドで思いが通じ合った二人だが、その2日後に沙織は帰国することになっていた。
遠距離ではあるがお互いを思い合いメールで連絡を取り合っていたが、あることを境に連絡が途絶えた。
お互いを想い合うがゆえすれ違う二人は果たして――。
編集部より
ミーティアノベルス書き下ろし作品!
大学から頼まれた仕事をしながら、ロンドンに一ヶ月滞在することになった大学院生の沙織でしたが、ヒースロー空港に到着後すぐにスーツケースを盗られてしまいます。
それを助けてくれたのが日本とアイルランドのハーフ、ダニエル。彼に電車賃を借りたまま別れた沙織は、もう一度会いたくてロンドン中を捜しまわります。
やがて偶然ダニエルと再会できた沙織は、ますます彼への想いが強くなり――。
果たして二人の関係はどう進展するのか? ぜひ、本編をお読みください!