2019-01-01から1年間の記事一覧
リアル・ノベル - ありしょう 内容紹介 ――朝。目を覚ました俺は、顔を洗うためベッドから這い出た。しかしその直後、何かに躓いて転びそうになった。 「痛っ……え?」 寝ぼけ眼だった俺は、目の前のソレを見た瞬間、一気に目が覚めた。 朝目覚めると、俺の部…
夏の終わりと君の破片 - 界達かたる 内容紹介 彼女に、ひまわりを食べる少女に出会ったのは――高校最後の夏休みだった。 八月二十七日、私は山奥にあるひまわり畑を訪れていた。本来ならうだるような暑さも忘れるほど見入る光景だが、その日は違った。 「むし…
グランマーク・フライトバルト氏の死に関して- 五条ダン 内容紹介 「ねえ、おじいちゃん」 老人を少女が呼んだ。 少女は十歳くらいの、髪を伸ばした綺麗な白人だった。 ブロンドの髪が、白いワンピースの上で、ふわふわと揺れる。 エメナルドグリーンの瞳が…
僕の瞳に映る君 - さがちこ 内容紹介 にこにこちゃん。隣のクラスの女の子。 いつから彼女に見つめられていたのか、僕にはわからない。 自分で言うのもなんだけど、どうやら僕は衆目を集めるタイプの人間だから、誰かの視線を感じることは日常茶飯事。 親し…
クルルンとピピン - 縁側 内容紹介 もうすぐ三歳になるミコちゃんは、絵本が大好きです。 それは、赤ちゃんの頃から毎日、ママが読み聞かせをしているからです。 絵本は、パパとママが本屋で見つけてきますが、家にある絵本のほとんどが、二か月に一度、おじ…
小さなメリークリスマス - たんぼず 内容紹介 「いい年していつまでアルバイトでいるつもりだ? まさか、結婚でおれに養われることを期待してるんじゃないんだろうな」 この世界に生まれた30回目の記念すべき誕生日。 私はその日、生まれて初めて付き合っ…
最後のふくぶくろ - たんぼず 内容紹介 「ばっちゃ、なに作ってるだ?」 「ええものじゃよ」 秋になるとちゃぶ台の上に竹やドングリを広げたばっちゃは、毎年決まってそう言う。 ぼくが育った土地はわりと自然が豊かな、いわゆる田舎というやつで。日が暮れ…
押し入れのなかに - たんぼず 内容紹介 「見ろよ! アクアーンGETしたぜ!」 「すっげ~!」 放課後になるとクラスメートたちはゲームやマンガの話で盛り上がるんだ。小学3年でもゲームとかケータイを持ってるのは珍しくない。 (でも、ぼくは関係ない……) …
君と私のリンカーネイション(1) - 北川葉 内容紹介 「アナタは猟奇殺人事件の被害者ヨ。バラバラの死体から蘇った人間ナノ。あなたはリンカーネイションされたのヨ」 「リンカーネイション?」 人は死んでも甦る――都内の公園で記憶喪失者として保護された男…
カンケン!- 因幡 雄介 内容紹介 吐く息が白く濁った一月の中旬。 バスから下りた先にあるのは地元の商工会議所。高校二年生になって初めて行く場所は、別に何か就職のコネにしようとか考えてきてるわけじゃない。あそこが《漢字能力検定》の試験会場だから…
おじいちゃんの忘れもの - 美山 幸 内容紹介 「おじいちゃんなんか嫌い!どうして分かってくれないの。そんな頑固だから、周りから人が離れるんだよ」豊は、そう叫ぶと、障子をピシャリと締めて、祖父の家をあとにした。 第3回ショートショートコンテスト 審…
蛍が舞う -まんぼう 内容紹介 子供の頃、夏休みの楽しみと言えば、母の実家に遊びに行く事だった。 当時は何回も電車を乗り換えて行った記憶もあり、見渡すばかりの田圃だったので、かなりの田舎なのかと思っていた。 第16回星の砂賞 審査員特別賞『蛍が舞う…
空の破片 - 神在琉葵 内容紹介 どれほど時が流れようと……。 僕が罪を犯したってことは事実なんだし、そのことを知ってる人は必ずどこかにいて、ご親切に上司に報告する人もいて……。 残念なことだけど……でも、仕方のないことだ。 だって…悪いのは僕なんだから…
なんと呼べば良いですか?~ - 奈木野ここち 内容紹介 日が落ちるのが早くなり、いつしか蝉の大合唱が消えつつある。 私は学校が終わると、図書館へ向かう。木造建ての図書館の壁のペンキは所々剥げ落ちている。 第4回朗読cafe朗読賞『なんと呼べば良い…
Southern Cross - 那柚 内容紹介 今度という今度は、思い知らされた……気がする。アタシって、つくづく男を見る目がないんだって。 ほら、テレビドラマなんかでよくあるバッディングってやつ? 連絡もせず彼氏の部屋に、たまたま行ってみたら、彼氏が他の女の…
異星人 -つちふる 内容紹介 彼が語る彼の世界はなるほど、確かに我々と異なる文明を築き上げ、独自の発展をしてきたようであった。 しかし、それらはすべて男の【妄想】だと一笑に付すことができるし、事実、私はそうした。 だが、その嗤いはすぐに凍りつく…
かくれんぼ~ - つちふる 内容紹介 ジャンケンをして鬼を決め、鬼は五十を数えてから隠れている子を探し出す。 誰でも知っている子供のゲーム。『じゃんけんぽん!』 私の目的は、仁志を鬼にすることだった。 第3回ショートショートコンテスト 審査員特別賞 …
二次元◇限定彼氏! - 七瀬椋 内容紹介 次々と周りが結婚していく。焦る。焦るけど、結婚するにはまず何をすればいいのか分からない。行動を起こしたいけど、男にがっついてるって見られるのも嫌。 第6回星の砂賞 審査員特別賞『二次元◇限定彼氏!』 おかしい…
終わりなき物語 - いっき 内容紹介 『クローン人間特例法』が施行されて、『不幸な理由で子供を失った親がそのことにより精神を患い、当該人間のクローンを作出することで回復が見込める場合』もしくは『当該人間のクローンを作出することで、世界技術の著し…
見果てぬ田園 - 深海カエル 内容紹介 Kは幸せな男だった。 彼に妻子はなく、両親もすでに他界していた。特にこれといった才能もなく、できる仕事といったら工場で作る製品のネジ締めくらいのものだった。 第3回ショートショートコンテスト 審査員奨励賞『見…
からっぽチョコレートのナゾ- 山吹あやめ 内容紹介 2月14日事件発生。 クラスメイトで演劇部のヒロイン、クイーン(あだ名)のバレンタインチョコレートが盗まれた。 第2回ショートショートコンテスト 審査員奨励賞『からっぽチョコレートのナゾ』事件発…
不器用なあなたへ - 湖汐 涼 内容紹介 「ほら、これ。あんたにやるよ」僕は、リボンを結んだ柔らかな黄色のカーネーションを一輪、目の前の女性に手渡した。 第1回ショートショートコンテスト 審査員特別賞『不器用なあなたへ』 母の日に、僕が用意したのは…
傘- 岡田吏生 内容紹介 朝、玄関でいつもの傘を手にした。「あんた、まだその傘使ってんの??」 「いいの、これお気に入りだから。行ってきます」 第1回ショートショートコンテスト 審査員奨励賞『傘』 憧れの人を入れた傘。タクシーの中に置き忘れてしまい…
からくり時計 - 藤井佳奈 内容紹介 「この店か」 シャッター街となった古い商店街の端に、その店はあった。 店に入る前にシャッター街を振り返ると、思わずため息が出た。僕の生まれ育った町も現在はシャッター街だ。つい、生まれ育った町を見ているような気…
マンホールのふたの話- 桂文弱 内容紹介 きみの夢を見たよ、とぼくは言った。 「どんな夢なの」そう、きみが聞き返す。 それが、奇妙な夢なんだ。夢の中のきみは、マンホールのふたなんだよ。 第6回ショートショートコンテスト 審査員奨励賞『マンホールのふ…
味の断人 - 此道一歩 内容紹介 ゴールデンウイークの三日目、信也が初めて婚約者の理穂を「品のない味の店」へ連れて行った。 店はコの字型にカウンターがあり、十、五、十という配置で席が用意されている。 周囲の壁は明るいベージュで統一され、壁とカウン…
ボクはヒーロー - dolce 内容紹介 ボクのしょうらいのゆめは、〝せいぎのみかた〟になることです。〝せいぎのみかた〟というのは、わるいひとをこらしめて、みんながしあわせにくらせるようにすることです。 だからボクは、たくさんのひとをたすけるために、…
スイーツ・ロード - 藤井佳奈 内容紹介 「いつかきっと」 山野が顔を上げた。僕は笑って、思っていたこととは別の言葉を続ける。 「いつかきっと、日本一の和菓子を作る」 「俺は世界一だ」 「知ってる」 僕達は顔を見合わせて笑った。 第15回星の砂賞【優秀…
七夕の約束 - 神在琉葵 内容紹介 (あ……) 久しぶりに早く帰れたその日……。 私の目の端に止まったものは、スーパーの前に並ぶ笹だった。 笹に吊るされた色とりどりの短冊が、ひらひらと風に揺れていた。 (そっか……もうそんな季節なのね……) 今日は七月六日……
幽霊屋敷へいらっしゃい - 水月あかり 内容紹介 「「ぎゃーーー!!!」」 ものすごい叫び声とともに、若い男女が屋敷から飛び出してきた。 そのまま走り去っていく彼らに向かって、入口にいた一人の少女・悠子は、何も驚くことなく、 「ありがとうございま…