暁帝国後宮騒動記~お憑かれ皇帝、ワケあり宮女を寵妃とす~ - 時永めぐる
内容紹介
精悍な容貌と堂々とした体格が相まって、黙って立っていれば人を畏怖させるほどの威厳を醸し出す清龍だが、残念ながら今は口元に浮かべたニヤニヤ笑いがそれを崩壊させている。
それでもなお人の目を惹きつけてやまないのだから厄介だ。香花は状況も忘れて見とれてしまう。
「どうした? 気に入らないか? なら宝物庫を開けてもっと持ってこさせよう。なにがいい? 首飾りか? 耳飾りか? それとも腕輪か?」
呆けた香花の耳元に顔を寄せ、清龍が含み笑いとともに告げる。
不満があるのではなく困惑しているからだと知っているはずなのに、彼は香花をからかっているのだ。
――陛下の意地悪!
後宮で働く香花は、不思議なモノが見え、ほんの僅かだけれど悪しきモノを祓う力を持っている。過去の苦い経験から見えることをひた隠しにしつつ、やりがいのある仕事や優しい友人に恵まれて、それなりに充実した日々を送っていた。
そんなある日、ふとしたことから不思議な子猫を拾い、それがきっかけで皇帝・柳清龍に秘密を知られてしまう。
清龍は悪いモノに憑かれてしまいやすい体質で、香花のように見えて祓える人材を探していたらしい。
「俺には君が必要だ」
清龍のそんな一言で、香花はいきなり妃嬪に大抜擢されてしまい――!?
見えちゃう寵妃とお憑かれ皇帝の、波乱に満ちた日々が始まる。
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし作品!
後宮で働く香花は、いわゆる「見える人」。トラブルを避けるためにそれをひた隠しにして生きてきましたが、よりにもよって皇帝に知られてしまいます。
彼はよくないものを引き寄せてしまう体質で、香花のような人を求めていたのでした。鶴の一声であれよという間に妃嬪に抜擢されてしまった香花。
新米宮女の大抜擢に、当然、周囲は面白く思いません。また皇帝の背後に暗躍する影も──
憑かれお疲れな皇帝陛下と、新米宮女の香花の中華風ラブファンタジー。ぜひお読みください!