懸賞品- ありしょう

内容紹介
俺は会社勤めを辞め、ネット懸賞で生計を立てていた。
毎日応募するだけの日々だが、下世話な人間関係に悩まされることがなく、まさに天職だった。
そんなある日のこと。俺は『貴方のクローンをプレゼント』という懸賞サイトに行き当たった。
「おいおい……人のクローンを景品にしたらダメだろ」
人間のクローンが巷に現れ始めて、早数年。当初は色々と問題が起きたが、今ではクローン人権法が成立し、彼らにも人間同様の権利が守られている。
「3Dプリンターでフィギアだったら……ああ、そうか」
俺は気付いた。このサイトは”つり”だ。
「ったく……」
背を伸ばして欠伸をした。
でも、もし本当に自分のクローンがいたら?
ふと、そんなことを想像してみた。
第6回ショートショートコンテスト 審査員奨励賞受賞作品
『懸賞品』
ネット懸賞だけで生活をしていた俺。
そんなある日、念願だったハワイ旅行が当選した。そればかりか、信じられないことに自分のクローンまでもが当選してしまったのだ。
俺はそのクローンに懸賞生活を任せ、憧れのハワイ旅行へと出かけた。
そして、帰国した俺に待ち構えていた出来事とは……。
編集部より
人と人のクローンが生活する世界で、自分のクローンを手に入れた主人公。
自分と入れ替わろうと画策しているのでは……と疑う主人公に対して優しく接するクローンだが、主人公の旅行中にとんでもないことが!
S(少し)F(不思議)な近未来、クローンと巡る奇妙なお話。
くすっと笑えてしまうような、衝撃の結末のショートストーリーです。