あなたのヒロインになります!~イケメン小説家に恋をしました~ - 結月美鶴
内容紹介
「この傘、本当に鈴音ちゃんの?」
「へ?」
彼が黒い傘を見上げる。無地で、骨は太めで存在感があり、取っ手は木製。私が掲げるにはちょっと重たい傘である。
「大きいし可愛くないし、男物じゃない?」
「そうです。今日は私も持ってなかったので、職場で借りました」
「店長さんから?」
「はい」
正確には店の置き傘らしいけど、同じことだろう。
「二人で入るにはちょうど良かったですね。私の傘だと小さかったと思います」
「別にそれでも良かったけど」
「え?」
スッと優鷹さんの左手が伸びてきて、私の右手ごと傘を掴んだ。
「最初から僕が持てば良かったね」
そう言って更に高く掲げる。と同時に、彼の背筋が伸びたような気がした。
「ワカサユタカ、いいですよ。オススメです!」ブックカフェで働く鈴音は、自身が推しの小説家に入れ込む読書女子。
ある日、自分が本棚に並べた一冊を手にした客を見つけ、嬉しくなって声を掛けた。
彼がとびきりのゆるふわ系イケメンであっても、ワカサユタカのことを熱く語ってしまう。
スイーツ好きで、本の話で一緒に盛り上がることができ、どうやら小説を書いているらしい。
「あなたが書いた小説を読みたい」と、ときめきながら告げた鈴音に、彼は――?
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし作品!
小説家「ワカサユタカ」の大ファンである鈴音は、ブックカフェで働いている。
自分の推しの小説を手に取ったお客様に、ついつい熱のこもり過ぎたトークをしてしまい反省。
またお店に現れた彼と交流を深めるうちに、彼の秘密を知ってしまい――
ぜひお楽しみください!