花降る夜には偽りの言葉を - 有沢ゆう

内容紹介
メレディアの家は、名前こそ貴族のくくりだが、実情はほぼ商人だ。成金が低位の爵位をかろうじてもらった、という程度でしかない。
かたや、リャナザンド家はその一族の多くが貴族であり、実際この豪奢できらびやかなダンスホールをもつ屋敷も、リャナザンド侯爵家の本邸だった。差し込んできた月の光で姿が見えるようになって気づいたが、目の前の男は、その傍家であるリャナザンド子爵家の次男だった。子爵家だが、かなり裕福で、領地経営の腕は確かなのだろうと感心した覚えがある。
確か、それぞれの当主が従兄弟同士だ。彼はメレディアより少し年上の二十三歳だったはずだ。
彼は、こちらの顔を確かめようというのか、瞳を覗き込んでくる。反射的に見返すその目は、鮮やかな青をしている。短めの黒髪とは対照的な透明感は、アンバランスでもありミステリアスでもある。しかし、顔立ちだけならば美しいと評される彼が、女達に敬遠されている理由もまた、その目だった。
これが物語ならば、きっと幸せな結末は訪れない――。
実家の商家を手伝っている男爵家令嬢メレディアは、ある夜、侯爵家の本邸の広間にある噂の天井画を見ようとこっそり廊下を歩いていた。しかし、侯爵家の傍系(親戚)である子爵家次男のジェラルドに見つかった!
最悪な出会い方をしたのだが、その後、ジェラルドの母や妹へ商品を紹介させてもらったり、演奏会に招待されるうち、メレディアはジェラルドに惹かれていった。そうして、あれよと婚約話が進んでいったのだ。
婚約してから数日後、ジェラルドの親戚である侯爵令嬢から幼馴染を紹介され、自分とそっくりだということを知った。その後、侯爵令嬢から「ジェラルドは昔から彼女を好きだった」と言われたことで、自分と婚約した理由に納得したのだ。
すでに結婚しているというその幼馴染の身代わりなのだ、と……。
それでもメレディアは不幸とは考えず、ジェラルドの良き妻になれるよう努力することを決意したのだった。
そんな中、メレディアは身に覚えのない冤罪を掛けられ投獄されてしまった。それをきっかけにメレディアの出生の秘密が明かされる。
危機を乗り越え、ふたりは真の意味で夫婦になることはできるのか――。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
男爵家令嬢のメレディアは、子爵家のジェラルドと婚約します。彼に惹かれていたメレディアでしたが、自分がジェラルドの幼馴染の女性と瓜二つであることを知ってしまいます。
自分は身代わりの妻だったと考えたメレディア。しかし、恋が実ってハッピーエンドな物語と違い、「その先」のある現実を生きるため、メレディアは愛する人の良き妻となることを決意しますが――
電子書籍版書き下ろしでは、メレディアの護衛ファシオの決意を追加。未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!
