望む、婿!~結婚できなきゃ修道院とかあんまりです~ - 黒湖クロコ

内容紹介
「学校は勉強だけをする場ではない。社交性を磨き、貴族同士のつながりを作る場でもあるんだ。それなのに、ルチアには浮いた話一つない」
「当り前ではないですが。学校は学びの場であり、男を作りに行っているわけではないのですから」
「男だけではなく女性の友人も、奇行のせいでいないだろうが」
「それは……まあ」
私は目をそらした。父の言うとおり、私は学校に全く馴染めていない。好成績を残しているし、伯爵位を私が継ぐことが確定しているわけなので、 目に見えて馬鹿にされることはない。でも明らかに遠巻きにされているのは分かっていた。
「学校で下手な男に騙されるのも困るが、伯爵を継ぐ限り、子どもを産むのは義務だ。つまりは結婚も貴族の務めと言える。そんな婿候補がいる学校の中で、お前は変人扱い。将来結婚相手に悩むのがすでに見えているようだ」
「うぐぐぐ」
同学年と結婚するとは限らないが、同学年には兄弟がいれば、そこにも私の行動は伝わるし、そこから親戚関係にも伝わる。……その結果、将来結婚相手が見つからない可能性も無きにしもあらずだ。
今の私に結婚願望はないが、貴族の義務として必要なのは分かっている。
「いいか。ルチアがこのまま女性らしくできず、婿も取れない状況を続けるのならば、血族を残すという貴族の義務の放棄とみなし、伯爵位に相応しくないため、修道院に入れる」
「そんなっ。修道院なんて、一人娘にあんまりじゃありませんか?」
ルチア・プラティーノ伯爵令嬢は昔から変わり者だった。人形遊びをするより虫を観察するほうが好きで、恋バナよりも研究するほうが好き。そして疑問に思えば男性服を着て農民に交じって畑いじりだってする。
学園を卒業したら伯爵位を継ぐことが決まっているルチアは、ある日、学園生活中に婿候補を見つけることができなければ修道院に入れると父から言われてしまう。しかしルチアは普段の女性らしからぬ行動のせいで、男子どころか女友達すらいない状態だった。
そんな中、ルチアは公爵令嬢とトラブルを起こしてしまい、居合わせたレオナルド・オパーレ伯爵令息に助けられた。それをきっかけにルチアはレオナルドが刺繍を得意としていることを知り、彼に女子力を上げるための先生になってほしいとお願いするのだった。
果たしてルチアは女子力を上げ、無事に婿を見つけられるのか!?
編集部より
「ミーティアノベルス」完全書き下ろし作品!
わからないことは突き詰め、好奇心のままに行動する伯爵令嬢のルチア。領地のためになる複数の成果を上げているものの、作業効率を優先するあまり、貴族令嬢としての身なりや振る舞いには無頓着でした。
そんなルチアを何度も叱り、ついに堪忍袋の緒が切れた父から、在学中に貴族の血を残すための婿候補を見つけられなければ修道院に入れると通達が。女子の友達さえいないルチアは、不足している自覚のある「女子力」を上げるべく、ある男子生徒に師事することに――?
変人理系女子と長身オトメンの学園ラブコメディーをぜひお楽しみください!
