異世界ですが、温泉オタクとして温泉ホテルを大繁盛させてます! - 保坂早穂

内容紹介
彼のいでたちは、ちょっと不思議だった。大正ロマンとでも言うのだろうか。今から中世の貴族が狩りにでも行きそうなクラシカルモード。
肩と襟がこげ茶色の革で覆われた、細かいチェック柄のジャケットを着ている。そして同布のズボンに黒のロングブーツを履いていた。
きれいに流れたプラチナブロンドは額にもかかり、その前髪の奥からは聡明さがうかがえるエメラルドグリーンの瞳がいぶかし気にのぞいている。彫りの深い端正な顔立ちは、まるでファッション雑誌から抜け出たように美しかった。
すっごいイケメン……!!
見とれていると、少しハスキーな低音が響く。
「そこで何をしている?」
外国人なのに、なんて日本語が上手なのだろう。
10才で両親を失った真理は、伊豆で温泉旅館を営む叔母に引き取られ、旅館の仲居として叔母の手伝いをしていた。将来旅館を継ぐことになっていたが、叔母の死により旅館が売られ閉館することが決まった。失意の中、最後のお客様を見送った真理は、ひょんなことから仲居の着物姿のまま温泉が湧く異世界へ転移してしまう。
真理はそこで高級温泉ホテル『アクア』の若き経営者、リチャード伯爵と出会う。はじめは隣国のスパイかと疑われたが、温泉で倒れた年老いた公爵の命を真理が助けたのをきっかけに、働かせてもらえることになった。アクアは経営が厳しかったが、温泉に詳しい真理の斬新なアイデアにより、客が増え、真理はアクアの経営についてリチャードから意見をもとめられるようになっていった。そうしていつしか二人は惹かれ合うようになり――。
温泉オタクの真理と温泉ホテルオーナー、リチャードとのちょっぴり切ない身分違いの恋物語。
編集部より
主人公は、西伊豆の温泉旅館で働く生粋の温泉オタク・湯村真理(ゆむらまり)。長年愛した旅館が閉館となり、最後のお客様の忘れ物を届けようと玄関を飛び出した彼女は、不運にも転倒して意識を失ってしまいます。
真理が目を覚ましたのは、なんと西洋風の異世界! しかも、そこは多種多様な源泉が湧き出る、温泉オタクにとっては夢のような場所でした。
さっそく温泉の効能に感動する真理でしたが……突如現れたイケメン伯爵リチャードに「温泉に毒を入れたスパイ」だと誤解され、捕らえられてしまいます!
そんな中、彼が経営するホテルで公爵が倒れる大事件が発生。真理は「湯あたり」だと見抜き、見事な応急処置で公爵を救います。その知識を買われた彼女は、身分もわからないままYUNA(ユナ)という浴室係として働くことになり……。
温泉オタクの知識は、この異世界のホテルを救えるのでしょうか? 温泉愛あふれるお仕事ファンタジーを、ぜひお楽しみください!
