婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります! - やきいもほくほく
第1巻 内容紹介

(あーあ、ジェラール殿下との結婚式を楽しみにしていたのに……。国王陛下はすぐにでも式を挙げたいと言ったけど、マイロンお兄様やお父様が反対するんだもの。聖女服じゃなくて素敵なウェディングドレスを着てみたかったのにな)
声をかけるタイミングを失って、ヴィヴィアンはそのまま死んだフリを続けていた。
すると、ジェラールが立ち上がったのがわかった。
(そういえば死ぬ前にキスしてほしいと言ってみてもいいのかしら……だって一度もしたことないんだもの)
これが最後だと思うと寂しく感じて、ジェラールに『やっぱり最後にキスをしてください』と言おうと目を開ける。二人はヴィヴィアンに背に向けているようだ。
そこでヴィヴィアンは、二人の裏の顔を目の当たりにすることになる。
いっそのことそのまま死んで、聖女の力などないほうがよかったと後悔するくらいに……。
「はぁ……これで僕とベルナデットを邪魔する者はいなくなったな」
「そんな言い方をしたら可哀想よ? ヴィヴィアンはジェラール殿下とわたくしのことを身を呈して守った、ということにすればいいのよ」
「皆から愛されているヴィヴィアンとの婚約を破棄するには、こうするしかなかった。仕方ないだろう?」
「ふふっ……悪い人。聞こえていたらどうするの? ジェラール殿下」
「聞こえているわけないじゃないか。ヴィヴィアンはもう死んだんだ」
ヴィヴィアンはうつ伏せのまま大きく目を見開いた。
背を向けている彼らが、先ほどとは別人に思えた。
頭が真っ白になっていく。
(嘘、でしょう……?)
グログラーム王国の平民出身の聖女ヴィヴィアンは、王太子ジェラールの婚約者として忙しい日々を送っていた。
しかしある日、大好きなジェラールと親友の公爵令嬢ベルナデットから裏切られ殺されてしまい、『死の森』に捨てられてしまった。そこは一度足を踏み入れた者は決して戻ってこないと恐れられるアンデッドが住む森だった。
死んだはずのヴィヴィアンが目を覚ますと、冥王と呼ばれる美しい男性・サミュエルの屋敷にいた。大好きな人の裏切りに悲しんでいるヴィヴィアンに、サミュエルはさらに衝撃的なことを告げる。
「君は”アンデッド”になったんだ」
黒い泥に覆われた死の森で暮らすことになったヴィヴィアンだが、不思議な生き物たちと意思疎通していくうちにさまざまなことが明らかになっていく――。
電子限定書き下ろしの番外編ではヴィヴィアンとサミュエルの気持ちが明らかに!
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
平民から公爵家の養女、そして「聖女」として見出されたヴィヴィアン。出自から風当たりも強かったものの、婚約者のジェラールと親友のベルナデットはいつも優しく接してくれました。だというのに、ある日大好きだった二人に裏切られてしまうヴィヴィアン。
殺害された……かに思えたヴィヴィアンが目を覚ませば、そこにいたのは長い黒髪を持つ美しい容姿の男性。
他の者たちから「冥王」と呼ばれる彼・サミュエルが告げるには、ヴィヴィアンは「アンデッド」になってしまったとのこと。もう国には帰れないと落ち込むヴィヴィアンですが、サミュエルの方もどうやら記憶が曖昧なようで……
聖女からアンデッドへと転落してしまったヴィヴィアンの運命は――
全2巻でお送りする、アンデッドとなった元聖女の物語をぜひお楽しみください!