買われた花嫁と白蛇公爵 ~愛されていないはずなのに、三食お菓子付き~ - かのん
内容紹介
姿勢正しくソファに腰かけている男性を、私はちらりと見上げた。
美しい白銀の髪と、豪奢で高そうな衣装をきっちりと着こなしている男性だった。すらりとした体つきに鋭い三白眼の赤い瞳を持つその相手を初めて見た私はドキリとした。
今まで父親以外の貴族男性に会ったことがほとんどない。比べる人がいないのでどうしようもないけれど、私にとっては誰よりも美しく見えた。
義母が白蛇公爵と呼んでいたのは、あの瞳と美しい銀髪が由来だろうか。
冷ややかなその美しい赤い瞳は、父を一瞥すると書類を受け取る。
「あぁ。そちらの令嬢か?」
ぺらぺらと書類に視線を走らせながら、男性はそう言い、父は同意するようにうなずく。
「はい。大人しい娘です。どうぞお好きにお連れください」
「あぁ」
フローレンス侯爵家の前妻の子であるローナは、義理の母に虐げられ、父からも無視される生活が続いていた。貴族の令嬢だというのに、貴族らしい生活をさせてもらえなかったローナだが、ある日わけもわからないまま無理やりドレスに着替えさせられ、父の命令で結婚させられることとなってしまったのだ。しかも相手は白蛇のように狡猾で残忍だと噂の白蛇公爵。ローナは金に汚い父によってお金と交換で売られてしまったのだ。
白蛇公爵から恐ろしい目にあわされるだろうと義母に脅されていたローナであったが、実際に彼――ルディと話をしてみると、とても優しい人のように思えた。一つ一つの所作も丁寧で優しく、ローナへの心遣いを感じる。公爵家の侍女もローナに優しく、聞いていた話と違うことに戸惑いながらも穏やかで幸せな生活を送り、自分の居場所を見つけていくが――
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし作品!
貴族令嬢として生まれながら、義母と父に虐げられ、使用人のようにこき使われていたローナ。
挙げ句、狡猾で残忍だと恐れられる「白蛇公爵」・ルディの妻として売られてしまいます。
どんな恐ろしい目に遭うのかと怯えていたローナでしたが、掛けられる言葉、待遇、心遣いの随所に優しさを感じ、戸惑いながらも徐々に穏やかな暮らしに幸せを覚えていきます。
しかし、幸せな暮らしが続くほどに、ローナにはお金で買われたことに不安と負い目を感じ……
家族に虐げられていた心優しいローナを、白蛇公爵が溺愛していく物語。ぜひお楽しみください!