悪役令嬢になったので可憐に退場しますが、モフモフ辺境伯だけはおゆずりいたしませんわ - 氷雨そら
内容紹介
「大丈夫です!! 私、サーシェス辺境伯様に嫁ぎますわ!!」
室内を沈黙が支配する。
「おい、サーシェス辺境伯といえば、野獣という噂の……。その姿は毛で覆われ、口の中はとがった牙、人とは思えない恐ろしい獣の顔をしているという……」
「そうです。ビルヘルム王国最高峰の魔法の使い手であるサーシェス辺境伯家のランベルト様! そのお姿のせいで、婚約者は決まっておられないですわよね!?」
「だが……。人ではなく狼の姿なのだぞ?」
「それこそが、ランベルト様の魅力ですわ!」
「んんっ? ……俺には理解できないが、ルティーナが狼姿に拒否感を持っていないなら、問題ないのか? ……そういえば、サーシェス辺境伯は、隣国ロシェスの王家の血を引いていたな?」
「良くご存じですね。さすがお父様です! そう、我がウィリアス公爵家に釣り合うお方ですわ!」
「考え方によっては、狼姿はロシェス王家の血を引いている証でもある。ルティーナの婿にふさわしいかもしれないな……」
「そうでしょう!?」
悪役令嬢に転生した私は、婚約破棄の申し出とともに、乙女ゲームの舞台から退場することを決めた。
もちろん、婚約を破棄された私に、まともな嫁ぎ先があるはずもない。
「でも、乙女ゲームの隠しキャラ、モフモフ辺境伯様だけは、誰にも譲りませんわ!」
野獣だと噂されている辺境伯、ランベルト様は、乙女ゲームの隠しキャラにして転生前の私の推し。
少し自信がなくて、才能豊かで、優しい、推しとの婚約のため、早速私は婚約申し込みの手紙をしたためる。
――この婚約が成立しなかった場合には、ウィリアス公爵家ルティーナは、神殿に入るか、若い貴族令嬢を後妻に求める高齢の貴族に嫁ぎます。
「……これは、新手の脅迫なのか?」
私はまだ知らない。弱気だったはずの辺境伯様にヤンデレ気味に溺愛されてしまうことを……。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
乙女ゲームの悪役令嬢として転生したルティーナは、抗うのではなく物語から退場することに。
それを機に、隠しキャラで推しである辺境伯、「野獣」と噂されるランベルト様に(脅迫気味の)婚約申し出を行います。
心にあるトラウマを抱えていた彼ですが、ルティーナの人柄に触れるにつれて変わっていき……?
電子書籍版では書き下ろしを追加!
婚約後の隠しエピソード、第9章(書き下ろし)が収録されています。
未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!