年上婚約者の溺愛に困惑してます! - 屋月トム伽
内容紹介
十二歳の時に婚約者が決まった。
婚約者は二十歳のクレイン・ウィルクス次期公爵様。
「クレイン、こちらがお前の婚約者のエステル・セルウェイ子爵令嬢だ」
ウィルクス公爵家は、エアルド王国でも有数の公爵家の一つ。その大きくて立派な公爵邸にお父様に連れられて行くと、ウィルクス公爵様は玄関外まで出てきて今か今かと待ちかねたように私たち親子を歓迎した。緊張しながらも挨拶を交わすと、ウィルクス公爵様がご機嫌な様子で私をクレイン様に紹介する。
目の前のご子息は、見目麗しく美しい銀髪。私と同じ深い緑の瞳で眉間にシワを寄せ、唇はうっすら真横に開き固まっていた。私との身長差は何十センチ? というくらい背が高く、ただでさえ小柄な私とはどう見たって釣り合わない。
「どうした、クレイン? エステルが可愛くて言葉もないか?」
「そ、そうですね。可愛らしいお嬢様で……」
「そうか、気に入ったか。クレインも可愛いと思うか。ハハハッ」
ウィルクス公爵様はご機嫌に笑っていた。
でも、違いますよ?
クレイン様の言った可愛いは、友人から『うちの子です』と言われて『まぁ、可愛い娘さんね』という種類の可愛いですよ。
子爵令嬢であるエステル・セルウェイは、12歳のときに婚約者が決まった。
お相手は、銀髪にエステルと同じ深い緑の瞳を覗かせた見目麗しい貴公子のような20歳のクレイン・ウィルクス次期公爵様。
年下令嬢を紹介され、眉間のシワが寄るほど驚いていたのに、彼は一度もエステルを邪険にすることなどはなかった。そして、婚約して一か月後には、クレインは隣国へと留学兼仕事へと行ってしまった。
それでも、年の差のある二人の縁は切れることなく、手紙のやり取りは続いていた。
成長と同時に健気にクレインをまっているエステル。そんな時に父親は他界。それをきっかけにエステルは、ウィルクス公爵家の用意した邸に住み始めたが、そこではエステルへの嫌がらせが始まりだしてしまう。
そんな邸を守ろうと頑張るエステルのもとへ、やっと帰国したクレインは――。
貴公子だったはずなのに……一体何を身につけて帰って来たのですか――!?
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
邸宅を守りながら過ごしていたエステルのもとに、年の差が開いた婚約者のクレインがようやく帰ってきましたが、
隣国である技能を身につけてきたクレインは、エステルのことになると少々(?)周りが見えなくなるようで……?
電子書籍版限定の書き下ろしでは、結婚式の準備を進めているクレインとエステルの後日談。そして、邸の完成が近づく中での二人のデートを書いた番外編を追加いただいています。
未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!