悪役令嬢に転生したら氷の公爵様との溺愛暮らしが降ってきました - 岬えいみ

内容紹介
「……お父様。ルイーゼです」
客が来ているとのことで父に呼ばれ、アニーの手を借りて身だしなみを整えたわたしは、応接間の扉をノックした。
「入りなさい」
父の声を聞いてから扉を開け、遠慮がちに視線を下げながら入室する。
「失礼いたします……」
中央に置かれたソファに、父ともうひとりの人物が向かい合って座っているのがわかった。
入ってすぐのところで足を止め、一礼してからそっと目線を動かすと、こちらに顔を向けた客人と目が合った。
「……!」
思わず息が止まるほどの存在感に圧倒される。
そこには彫像のように整った顔立ちをした、高貴な雰囲気をまとっている 青年だった。
(……なんて、きれいな人……)
すらりとした体躯を仕立てのいい衣服で包んだ美丈夫。きらきらと光を反射する艶やかな銀髪は、気高く神々しい。
すっと通った鼻筋に、シャープな顎のライン。前髪の隙間から覗く瞳の色は深みのある紫で、希少な宝石のごとく輝いている。
神秘的な美貌にぼんやりと見惚れていると、父に行動を促されてハッとした。
「ルイーゼ、なにをしている。早くこっちに来なさい」
「は、はい……」
『守りたいのは、君ひとりだけ――』
男爵令嬢のルイーゼは、落雷事故の衝撃で前世の記憶を取り戻し、自分が前世で愛読していた恋愛ファンタジー小説の悪役令嬢に転生したことを知る。
小説通りに事が進めば、主人公である聖女の敵として断罪されてしまう!そんなのは絶対に嫌だと思ったルイーゼは、物語の筋書きからはずれて新しい人生を歩もうとする。
しかし妾の子であるルイーゼの人生は、男爵家で冷遇され前途多難。
そこに手を差し伸べてくれたのは、辺境の森に赴任してきた美貌の公爵ジェイルだった。ジェイルに恋慕の情を抱かないということを条件に、彼の屋敷で行儀見習いとして身を寄せることに。
楽じゃないと思われた公爵邸での生活は、愛鳥のピッピと屋敷のモフモフな妖精たちに囲まれて、なんだか快適。
おまけに「氷の魔塔主」だったはずのジェイルに、なぜか甘く溺愛されて――!?
編集部より
ミーティアノベルス書き下ろし作品!
男爵令嬢のルイーゼは落雷事故の衝撃で前世を思い出し、自分が愛読していた恋愛ファンタジー小説『光と影のラブシンフォニー』の世界に転生していると気づきます。
そしてルイーゼの配役は「悪役令嬢」。"悪役令嬢のお役目は、謹んで辞退させていただきます"と、断罪への筋書きをはずれて新しい道を歩もうとしますが、それゆえに前世の記憶もあまり役に立たず、自身の境遇も相まって前途多難……。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、「氷の魔塔主」と恐れられる公爵・ジェイルで──
優しい奇跡が降り注ぐ、モフモフ付き異世界恋愛ファンタジーをぜひお楽しみください!