望遠鏡の向こう側- 如月 灯名 内容紹介 「翔太、まぁた望遠鏡覗いてるの?好きねぇ。」背後から呆れたような声が聞こえてきた。僕はそれを完全無視。レンズを覗き続ける。「翔太は、望遠鏡に取り憑かれてるな…………」僕は場所を固定して、ピントを調節するレバ…
蛍- 猫ケモノ 内容紹介 蛍が舞っている。 私は歩くのをやめ、橋下を流れる川へと眼をやった。薄暗い薄に覆われた川から、明滅する光があがってくる。 翠色のその光は、美しくもどこか儚く頼りない。 まるで、人の命のように――。 彼女と蛍を見た幼い日々のこ…
二槽式洗濯機- 矢口 葵 内容紹介 都心から電車で3時間の所にあるひなびた田舎町。そこに、母子二人で暮らす宇田川家があった。母は遅くに結婚したので既に70歳を過ぎ、家の裏で畑仕事なんかをコツコツとやりながら暮らしている。父は数年前に病気で亡くなっ…
仮面カノジョ- 矢口 葵 内容紹介 「ねー玲奈、お願いがあるの!」 ロングヘアを揺らしながら、スタイル抜群の美脚を惜し気もなく晒したショーパン姿で私の教室に飛び込んできたのは親友の美穂だった。 この春から入学した京院大学で偶然隣に座った彼女とはす…
ブアメードの血 - ヒビ・ヒビキ 内容紹介 「殺す……殺してやる」 刃物が肉を切り骨を絶つ。赤い鮮血が降りかかるが、気に留めない。 ただひたすらに本能の赴くままに、肉を切る。 第17回星の砂賞【佳作】受賞作品ある一軒家で四肢、頭部が切断された女性の死…
透明少女と恋の花 - 猫ケモノ 内容紹介 あの日、俺は大切な人を守れなかった。 俺の眼の前で、姉さんは消えてなくなってしまったのだ―― 第14回星の砂賞【審査員特別賞】受賞作品透明症候群――極度のストレスを感じることにより、人体を構成する分子が減少、姿…
それは奇跡から始まった。 - 神在琉葵 内容紹介 奇跡……それは滅多なことでは起こらないもの。 少なくとも、僕の身にそんなことは起きないと思っていたし、そもそも奇跡なんてものは、テレビで見るか、本で読むようなものだと思っていた。 それなのに、ある日…
六月の花嫁- 立花 宗治 内容紹介 この、泣いている六月の花嫁を乗せたのは偶然だった。 一仕事終え、待機所に帰る途中。突如としてトイレに行きたくなったのが始まりだ。 近場のコンビニに入りトイレを借りた後、飲み物を一本とのど飴を買ってタクシーに戻っ…