婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています - 月夜野繭
内容紹介
「前にもセドリックと呼んでくださいとお願いしたはずです。昔のように」
「けれど、もう殿下が小さいころとは違いますから、なれなれしく『セドリックさま』とはお呼びできませんわ」
基本的に王族は特別で、名前に陛下、殿下と敬称をつける。〝さま〟づけで呼ぶのは小さな子供相手か、婚約者のようなごく親しい間柄の相手だけだ。
そして呼び捨てにするのは、夫婦や家族同然になってから。だから、わたしも卒業パーティーで、元婚約者の呼び方を『ヒューバートさま』から『ヒューバート殿下』に改めたのだ。
すねた様子だったセドリックは、姿勢を正してわたしに向き直った。
「そうですね。仕方ないことなのだとはわかっています。だから、今日は結婚を申し込みに来ました」
「……え?」
わたしを出迎えたまま居並ぶ執事やメイドたちの前で、突然わたしの前にひざまずくセドリック。まるで物語の中の騎士が姫君に忠誠を誓うシーンのようだ。
だが、そんなロマンチックな状況ではまったくない。婚約破棄をされたばかりの女と、十も年下の美少年。
セドリックの表情はきわめて真剣だ。
「僕なら兄上のように不実なことはしません。あなただけを愛し、一生守り抜くと誓います。アーリア、僕と結婚していただけませんか」
「…………え?」
「アーリア・クラークルイス、おまえとの婚約を解消する!」
第二王子から婚約破棄された途端に、前世の記憶を思い出した伯爵令嬢アーリア。どうやらここは乙女ゲームの中の世界で、自分は『悪役令嬢』に転生してしまったらしい。このままだとゲームヒロインをいじめた罪で国外追放されてしまうかも!?
すぐに婚約破棄を了承し逃げ帰ってきたけれど、伯爵邸には元・婚約者の弟で第三王子のセドリックが待っていた。ところが――、
「僕と結婚してほしいのです」
天使のような美少年セドリックが突然プロポーズしてきて?
セドリックは昔からかわいがってきた弟みたいな存在。しかも、十歳も年下の男の子となんて結婚できるわけがないでしょう!?
転生悪役令嬢とちょっぴり腹黒な美少年の、年の差&溺愛ラブ。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
乙女ゲームの悪役令嬢として転生、前世の記憶を思い出した伯爵令嬢・アーリア。
婚約者であった第二王子から婚約破棄されたあと、待っていたのは十も歳下の第三王子・セドリックからのプロポーズでした。
物事の許容量を超えたアーリアの意識は途絶え、目覚めたときに視界に入るのは第三王子の姿で……
それ以降もぐいぐいと迫ってくるセドリックに、アーリアは……?
電子書籍特典は後日談二話『逆ハーレムルートは攻略しません!』『そして、少年は大人になる』を書き下ろし。
未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!