オオカミ陛下の躾け方 ~破滅フラグと一夜を共にした令嬢奮闘記~ - 枢 呂紅
内容紹介
「マージェリー。貴女に永久の敬意を。私、セルジュ・ルイ・ルグランは、この場を借りて、貴女に深く感謝を申し上げます」
在校生たちが唖然とする中、セルジュは真摯な瞳でマージェリーを見上げる。それから、美しい笑みを浮かべて佇むマージェリーの手のひらに、彼は敬意を込めて口付けをした。
「私とフローラが結ばれたのは、貴女のおかげです。貴女という真の友人がいなければ、私は秘めた恋心を抱いたまま、学院を去ることになっていたでしょう」
「過ぎたお言葉ですわ、殿下」
ゆっくりと首を振り、マージェリーは王弟に立ちあがるよう促す。そうやってセルジュ、フローラの手を取ると、マージェリーは慈愛の籠った眼差しで微笑んだ。
「私はただ、大切な友人二人に、幸せになって欲しかっただけですわ」
わっと、教師たちが拍手をした。完全に置いてけぼりの在校生たちも、戸惑いながらとりあえず手を叩く。
一体どういうことだろう。悪役令嬢の断罪イベントどころか、問題の三人が手を取り合って、仲睦まじく微笑み合っている。
感極まったフローラが、嬉し涙を滲ませてマージェリーに抱きつく。目を丸くしつつも、受け止めるマージェリーも笑顔で嬉しそうだ。
夢物語のような、美しい光景の中。
――聖母のような微笑みの下、ノエル家の令嬢マージェリーは、勝利のガッツポーズを決めていた。
(――……完璧よ。計画通り、だわ!!)
「王の隣で熟睡とは見どころのある娘だ。さすが、私と一晩を共にしただけはある」
酔い潰れた翌朝、マージェリーは頭を抱えていた。
まさか自分がワンナイトラブを、それも前世で大好きだった推しとしてしまうなんて――。
破滅ルートまっしぐらの悪役令嬢に転生したことに気付いたマージェリー。前世の知識を駆使して「魔の三年間」を乗り越えた彼女だが、直後、第二の破滅フラグであるオオカミ王・ユリウスとうっかり一夜の関係を持ってしまう。
こうなったら仕方ない。破滅フラグだらけな推しを『躾け』て、今度こそ完璧にバッドエンディングを叩き潰してみせます!
これは、策士策に溺れる系ヒロインが、推しに図らずも溺愛されたり、周囲を無自覚に巻き込んで大騒ぎしたりしながら、誰もが幸せなパーフェクトエンディングを目指す物語。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
名家の出にして宰相が娘。長らく王弟のパートナーと目されていた侯爵令嬢、マージェリー・デュ・ノエルは、自らが前世でドはまりした恋愛小説、『シンデレラは突然に』に登場する悪役令嬢だと気づいてしまいます。
小説の主人公・フローラをあの手この手で苦しめた挙げ句、最終的には、自業自得としか言いようのない破滅エンドを迎える(小説の)マージェリー。
そんな運命は絶対に回避しなくては! と、脱・破滅ルート、脱・悪役令嬢を目指して行動を始めたマージェリー。
やがて王立学院での魔の三年間を無事に乗り切った彼女でしたが、直後に若き王・ユリウスとうっかりワンナイトを過ごしてしまい……?
電子書籍版では書き下ろしを追加!
マージェリーとユリウスの甘々な「その後」、そして二人の娘が登場する「未来」を描いた2本の特別編を収録。
未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!
原作小説はぶんか社様でコミカライズ! こちらもぜひご覧ください。