ぼくの駈歩の夏を - たんぼず

内容紹介
なんだか体から力が抜けて、大の字で寝そべる。すると、早紀おばさんの言葉がもう一度頭に浮かんだ。
“あなたならきっとできるわ。頑張ってね”
――父さんからも、母さんからも、一度に言われたことがない。頑張れとか、期待してるとか。
第17回星の砂賞 佳作受賞作品
夏休み。ぼくはおばあちゃんの田舎に遊びに来てた。
けど、ほんとはわかってたんだ。父さんと母さんのこと。
ひとりぼっちで神社にいたぼくは、そこに馬がいるのを見つけたんだけど。ある日知らないお姉ちゃんに話しかけられた。
それが、ぼくの夏休みを忘れられないものにしてくれたんだ。
これは非力な小学生だったぼくの、ひと夏の小さな小さな物語。
※駈歩(かけあし)…馬術の基本になる歩度の一種
編集部より
仕事で忙しい両親との溝を感じている小学五年生・優。
母親のアメリカ出向と父の出張が重なり、その間祖母のところへ預けられることとなります。
「両親にとって自分は邪魔なのでは」と鬱々とした想いを抱えたまま田舎に出向いた優は、神社に居る白馬「神明号」に出会い――
乗馬、そして草競馬という珍しい題材を、心の成長譚に落とし込んだ爽やかな傑作です。
ぜひお読み下さい。