不幸な二人は幸福に消える - 阿波野治

内容紹介
顧みれば、七か月間、夏休みの一か月半を除いても半年近くもの間、耐え忍んでこられたのが奇跡に思えた。孤独感に耐え切れなくなったのではない。この世界が発信する、「孤独をよしとするのは異常だ」という無言の圧力、それから逃れたかったのだ。
第16回星の砂賞 審査員奨励賞受賞作品
「青空を眺めていると、死にたくならない?」
編集部より
孤独であることそのものよりも、「孤独をよしとするのは異常だ」という無言の圧力――学校という閉ざされた社会の中での同調圧力に耐えきれなくなった主人公は、退避場所として立入禁止の屋上を選びます。
自分だけの一次避難場所を見つけた、と小さく安堵したのも束の間、彼は屋上に先客がいることに気づきます。
そこにいたのは同学年の少女。彼女もまた「生きづらさ」と一括りにできぬ想いを抱えた人間でした。
出会ってしまった彼と彼女。二人はどこへ向かうのか――。
その結末は、ぜひその目で確かめてください。

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