電子書籍「ネット文庫星の砂」

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「『お飾り』なんてまっぴらごめんです!!」 - 友坂悠

『お飾り』なんてまっぴらごめんです!! - 友坂悠

内容紹介

「ごめんなさいお姉さま。わたくし、陛下のお子を授かりました」
「そういうことだ。リリスがこの私の子を懐妊した。めでたいだろう」
 テーブルを挟んで反対側の椅子を勧められ腰掛けたわたくしに最初にかけられたのは、彼らのそんな言葉だった。
 ごめんなさい? その顔は笑っているのに? 
 めでたい? 何がおめでたいというの?
 謝る気なんかさらさらないとでも言うような表情のリリスに、先日のやりとりなどなかったかのようなクレインの態度。ワナワナと体が激しく震え、わたくしは自分が怒っているのだと、自覚した。
「どういうことなのでしょう。先日はあんなにリリスとの関係を否定しておいて。わたくしを馬鹿にしていらっしゃるのですか?」
 なんとか喉から絞り出したのは、そんな声にならないほど掠れた、低く、くぐもった声だった。
「馬鹿にするも何もない。そもそもお前に子ができないのが悪いのではないか?」
 開き直り、そう言い放つクレイン。
「国にとって後継となる子は必要だ。魔道士に占わせたところ、リリスの子は男子で間違いないようだしな。なに、お前とてどこか他の娘に生ませた子よりも半分とはいえ血が繋がった妹の子を世継ぎとしたほうがいいだろう?」
「どういうことでしょう……」
「私は何も、お前とリリスをすげ替えようなどとも思ってはいない。お前は王妃のままでいい。リリスは第二夫人で満足だと言っている」
「ええ、お姉さま。わたくしにはクレイン様の愛さえあればいいのです。王妃の座はお姉さまに譲りますわ。第二夫人としてクレイン様のお子を立派に産み育ててみせますから」
 勝ち誇った顔でそうのたまう二人。
「それではまるでお飾りの王妃ではないですか! そんなあなたの都合よくお仕事だけ押し付けられる名ばかりの王妃の座なんかいりません! 離縁してください!」

 
 ロクサンシーム王国の王妃、レイニーマインは従順な妻だった。
 しかし、ある日夫のクレインとレイニーマインの腹違いの妹のリリスが浮気している現場を目撃してしまう。問い詰めるレイニーマインにクレインは開き直り、さらにはリリスがクレインの子を身ごもっていると告げたのだ。そのあとも自分に都合の良いことを口にするクレインに我慢の限界に達したレイニーマインは感情のままに離縁を願い出て、クレインもそれに同意するのだった。
 ロクサンシーム王国を支配下に置く帝国の皇帝が二人の婚姻の際の後見人であったことから、クレインとレイニーマインは離婚を報告に行くことにした。そこでありえない事実を目の当たりにしたクレインは手のひらを返し、レイニーマインとの離婚をなかったことにしようと、卑劣な手を使い彼女を意のままに操ろうとして……。
 
 

編集部より

 人気作品がミーティアノベルスに登場!
 ロクサンシーム王国の王妃レイニーマインは、愛する夫である国王クレインが自分の妹と浮気をしている現場を目撃してしまいます。
 さらに、妹はクレインの子を身ごもっていました。 クレインがレイニーマインに突き付けたのは、「王妃の座はそのままでいい。妹を第二夫人として迎え入れよう」という、あまりにも身勝手な提案。それは、彼女にこれまですべて押し付けてきた政務を、これからも『お飾り』の王妃として都合よくこなせ、ということでした。
「離縁してください!」夫の裏切りとひどい仕打ちに、ついに彼女は離縁を決意します。
 愛も信頼も失ったレイニーマインが選ぶ道とは? 不遇な王妃がすべてを捨てて、本当の自分と幸せを取り戻す物語。
 
 電子限定書き下ろしでは、クレインと離婚したレイニーマインが聖女としての旅に出て黒猫のクロウと冒険者パーシィと出会うお話を大幅加筆。クレインの浮気によって傷ついたレイニーマインが新しい恋や愛を見つけ、自分の心を取り戻すまでの物語。
 未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!
 

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