優等生ですが、目覚めたらラノベの悪役令嬢でした！ - 栗栖あごた
内容紹介
「つまり私は……」
にわかに信じることはできなかったが、まさかライトノベル『ラ・カスティージャの秘宝』の世界に飛び込んでしまったのだろうか。
それも悪役令嬢のテネフェリに……!?
どうして こんなことになったのか。どうすれば現実の世界に戻れるのか。もうすぐ中間テストがあるのに……。
あまりの衝撃に返す言葉が見つからず、ただ呆然として固まっていた。
混乱して いる様子の私が心配になったのか、外にいた見張りは気遣うような調子に変わった。
「テネフェリ様、どうか元気を出してください。そんなに心配しなくても、あのお優しいマルガレーテ王女のことですから、命まではお取りにならないでしょう」
言われてハッと我に返り、『ラ・カスティージャの秘宝』を思い出した。こんな場面はあっただろうか。いや、なかったはずだ 。
「私が、盗んだの……？ な、何を？」
演劇好きの葛城ゆいかは、医学部を目指す高校三年生。
ある日、目覚めたら愛読書『ラ・カスティージャの秘宝』の悪役令嬢である伯爵令嬢テネフェリになっていた。わけもわからないまま、彼女は憧れのアルフォンソ王子からいきなり冷たい言葉を浴びせられてしまう。
王子が激怒するのも無理はない。テネフェリは、イリオン国から来賓としてやってきた王子の婚約者マルガレーテ王女の部屋に無断で忍び込み、宝石を盗んだのではと疑われているようなのだ。窃盗容疑は晴れたものの、無断で侵入したことには変わりはない。しかし、王女はテネフェリが自分の侍女として仕えることで許してくれるという。
王女の温情に感謝したのも束の間、テネフェリを侍女にしたのは由緒ある伯爵家の令嬢であるテネフェリを利用して、国家の秘密を探るためだった。王女がイリオン国王である父から密命を受けていることに気づいたテネフェリは、王子に危険を知らせようとするが……。
編集部より
ミーティアノベルス書き下ろし作品！
医学部合格を目指す優等生・ゆいか。彼女の唯一の楽しみは、勉強の合間に読むライトノベルでした。
彼女はお気に入りのラノベ『ラ・カスティージャの秘宝』を読んでいたはずが、目を覚ますとそこは物語の世界。しかも、ヒロインをいじめる悪役令嬢「テネフェリ」に転生してしまっていた！
状況もわからぬまま、ヒロインであるマルガレーテ王女の宝石を盗んだという身に覚えのない罪で、物置部屋に閉じ込められているという最悪のスタート。
憧れのヒーロー、アルフォンソ王子からは「国家反逆罪に等しい」と、いきなり国外追放を宣告される絶体絶命のピンチに。
ヒロインの寛大な心（？）によってなんとか追放は免れたものの、テネフェリに与えられたのは、なんと『王女の侍女として仕える』という予想外の役目で……！？
魂の中身が真面目な優等生の彼女は、「悪役令嬢」としてこの窮地をどう乗り越えるのか？ ぜひ、本編をお読みください！
