恋する騎士は嘘つき侍女を離さない - 蒼山螢
内容紹介
「……わかっておるな。ただで済むと思うな」
「あ、あの……なんと申し上げてよいのか……閣下……」
「きみの家を潰すことなど簡単だからな! ワシを誰だと思っているんだ!」
「閣下にこのようなことをするつもりでは」
「いいわけをするな! 貧乏カリゲスの小娘が!」
伯爵は怒りのあまり顔が真っ赤である。これはまずいのでは……そう思ったときだった。
「閣下、御自分よりもずっと年下の女性相手にそのような乱暴はいけません」
低い声が聞こえた。声の主が転倒しそうな自分を抱えてくれたひとだと気づくのに、数秒かかった。
子爵令嬢のセレスティナは、晩餐会で助けてくれた近衛騎士フォンシェに憧れている。父に嘘をつき、彼を追って王宮侍女になることを選んだ。
無事採用されたが着任先は国王の公妾ロラの侍女。
ロラの機嫌を損ねるなと侍女頭からもいわれていてたのに、着任早々セレスティナはロラの怒りを買ってしまう。
気落ちしていた時にフォンシェと再会するが喜びも束の間、彼は「ロラ様の気持ちは痛いほどわかる」と辛そうだ。
もしやフォンシェはロラを愛しているの? セレスティナは彼を応援しようと決める。
そんな折、セレスティナは国王に興味を持たれ「わたしの側付きとなれ」と迫られる。
危機一髪のタイミングで助けてくれたのはフォンシェだった。ロラを想っているはずのフォンシェに優しく抱きしめられ、セレスティナは混乱するのだが……。ふたりの恋の行方は?
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし作品!
貧乏貴族のひとり娘として生まれたセレスティナは、かつて自分を助けてくれた憧れの騎士を追って王宮侍女となります。
しかしその恋路は一筋縄ではいかず、国王やその公妾ロラの思惑までもが絡み合い……
陰謀渦巻く王宮ラブストーリーをぜひお楽しみください!