天才魔道具師は、呪われた娘と夢を見る - 坂野真夢
内容紹介
「あの、あなた大丈夫? さっき、苦しくなかった? ……私、人を威圧してしまうの。だからみんな、私が怖いって……。あなたは平気なの?」
「怖い?」
男は近づいてきて、人好きのする表情で微笑んだ。
ディマは自分の頬が熱くなってくるのがわかった。もう長いこと山暮らしなので、若い男性を見ること自体が珍しい。ましてこれだけ顔の整った男だ。ドキドキしてしまうのは、仕方がないだろう。
「君みたいな小さな女の子、怖くないよ」
男はなんの気負いもなさそうに砕けた調子で言う。ディマは少しばかり悔しくなってきた。動揺しているのは自分ばかりで、男はなにも気にしていないらしい。十七歳の乙女の裸を見たというのに。
「私、小さな女の子じゃないわ。もう十七歳よ」
魔道具師のアルフレッドは、師匠と離れ初めて一人で『最高の魔道具』を作るために旅をしている。
そんなある日、恐ろしい力を持つことから建国神話に出てくる化け物「メディカ」と呼ばれて山の中で一人で暮らしている娘・ディマに出会った。
彼女の力は化け物ではなく、魔力だと気づいたアルフレッドは、魔法の使い方を教えるために、一緒に旅に出ようと誘い出す。
しかし、力をコントロールできないディマは、人里に入ることを恐れていた。
時に衝突し、時に慰め合いならが、ふたりは旅を続けて行く。
目指すは『最高の魔道具』の作成だ。
しかしある日、ディマは力を暴発させ、とある村のお祭りを台無しにしてしまう。
そして、自分の魔力が、かつてアルフレッドが持っていた魔力だと知ってしまい、力をアルフレッドに戻すためにディマはある決断をする。
ふたりの未来は一体どうなるのか──。
編集部より
「ミーティアノベルス」書き下ろし作品。
膨大な魔力を持つ少女ディマと魔道具師アルフレッド。二人はぶつかり合いつつも想いを深めていきます。
しかしあるきっかけから、ディマは大きな選択を迫られることに……
ファンタジーラブストーリーをぜひお楽しみください!