女王陛下は醜聞を避けたい - Hk
内容紹介
「……ビー、俺のことを嫌いに?」
ずるい。嫌いと答えられないと分かっていて聞いてきているのだ。
ベアトリスは一度目をぎゅっと閉じてから、しっかり開き、苦しい表情の彼をまっすぐ見つめた。
――思っていることと逆のことを言えばいいのだ。
できるだけ酷く、可能な限り辛辣に。
「ギルバート、幼い頃から共にいたけれども、家の都合で一緒にいただけのこと。私にとってはそれだけ」
――嘘だ。親に無理強いされた関係性ではない。彼にくっついていたのは自分の意思だ。泣きついてばかりだった。
「あなたは私に馴れ馴れしすぎるし、それを苦々しく思ったこともあった。付き合いが長すぎて兄弟のようだもの。正直、異性として特別な感情を持ったことはないわ」
――そんなことない。今も大好きだ。ずっと一緒にいたいと思って結婚を心待ちにしていた。
「私は女王になるけれど、結婚はしないし、子どもも生まない」
――どんな色の髪や瞳をした子が生まれるのかを想像していた。見てみたかった。
「これからは臣下としてよく仕えてください。話は以上です」
ベアトリスはギルバートから視線を逸らすと、力の抜けた彼の手を離した。
王女のベアトリスは大好きな幼なじみのギルバートと結婚することを心待ちにしていた。
しかし兄王が急逝し、幼い甥が成長するまで中継ぎの女王として立つことになったベアトリス。
当然、政権の安定を考えると即位している間は結婚をしないほうが良いーー。
恋を諦め、女王としての慣れぬ仕事に邁進するなか、ギルバートが宰相補佐として側で支え始めたので、気になる日々。
しかし彼は何も言わずに妻を迎え、ベアトリスは傷心する。
やがて女王として九年経ち、退位に合わせて降嫁することになったベアトリスは結婚相手を探すため見合いに臨む。そこに現れたのはなんとギルバートで――。
恋を諦めた女王と、諦めない宰相補佐のじれじれ攻防戦。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
恋を諦めた女王と、諦めない宰相補佐。ふたりのじれじれ攻防戦に読みすすめる手が止まりません。
電子書籍版では限定SSと『愛が欲しいギルバート』『嫉妬』『カインとクロエの話』を書き下ろし!
初読の方はもちろん、WEB版読者の方も物語の世界観にどっぷり浸れる1冊となっています! ぜひお楽しみください!