伊集院早希ですが、人事のお仕事は大変です! - 上高地 嶺
内容紹介
「まず、就職活動の進捗状況を教えてください。どのような業界や会社を受けていて、選考がどこまで進んでいるか、差し支えない範囲でお答えいただけますか?」
何といっても初めての最終面接。こんな簡単な質問から始まるんだ、と安堵する。
「エントリーしたのは、御社だけです。ですから受けた業界は食品のみです」
二人は眉間に皺を寄せ、顔を見合わせている。
何か変なこと、言いました……?
村田課長が聞いてくる。
「確認ですが、本当に当社以外はどこもエントリーしていないのですか?」
「はい。御社一社に絞ってます」
さっき柳橋さんも驚いていたけど、私にしてみれば、なぜこうもびっくりするのかが不思議なんだけど。
「では、当社が不採用の判定をしたらどうしますか?」
「内定を得られると確信していますので、不採用のことは考えていません。それほど御社で働きたいんです」
自信持って答えるが、面接官の反応は鈍い。
「どうして内定を得られると言い切れるのですか?」
来た来た来た! ここは売り込むチャンス!
「『サイモンカレー』を愛する気持ちは誰にも負けません!」
そう宣言して、憧れのサイモンフーズに入社した伊集院早希だが、一年で希望した営業職をクビになり、人事課への異動を命じられる。
美人でプライドが高い人事部の先輩、柳橋花子のもとで入社式、新人研修、新卒採用、ハラスメント対応など人事部の業務に携わる。
これは入社2年目の早希が、自分なりに「人事のお仕事」に向き合い、悪戦苦闘しながら社会人として成長していく物語であり、
淡く心を寄せている営業部の先輩、川崎との恋の行方も――。
編集部より
ミーティアノベルス書き下ろし作品!
憧れの食品会社になんとか入社した主人公・早希ですが、望んだ営業職を1年で配置転換され、人事へ異動することに。
右も左も分からない「人事」の業務に携わることになった彼女は、真っ直ぐ(だけどちょっと向こう見ずなところも……)な性格を胸に奮闘していきますが……?
冒頭の面接のやり取りからかなりリアルで引き込まれます。お仕事ものとしても、淡い恋愛物語としてもお楽しみいただけます!ぜひお読み下さい!