税理士学校に入学しました! - ビーツ杏
内容紹介
「はっ? ところで君は何で税理士のコースに来ているの?」
それこそ余計なお世話だ。でも、
「資格を取って将来、自立した女性になりたいんです」
真面目な気持ちで通っていることをアピールした。
「それで税理士?」
「そうです。税理士は国の法律で定められた税務業務を、独占して行うことができます。ですから安定した生活が……」
少し誇らしげに説明して、口を固く結んだ。
「君、税理士の仕事をしたことあるの? 身近に税理士がいるとか?」
しつこい性格のようだ。私の説明を無視するように突っ込んで来た。
「いいえ」
思わず鼻の穴が膨らむのを感じた。それでも堂々と告げる。
「税理士や会計士のお仕事については、ここの学校の講師の方にお話を聞いています」
すると彼は納得する様子もなく、天井を向いてつぶやいた。
「やったことのないのに、もう職業を決めるって、勇気あるよなぁ」
浪人して大学に通う小杉浩美は一流企業への就職を諦め、税理士資格を取ろうと税理士学校の夜間コースに入学する。
真面目だけが取り柄。必ず合格するぞと意気込み、教室では一番前の席を陣取り勉強に励んでいたが、どこかいい加減で派手な格好をしたイケメン、山里のことが気になってならない。教室ではノートも取らない彼だが、その成績はトップクラスだという。
山里に気持ちを振り回される浩美の恋の行く末は? はたして税理士試験にはパスできるのか。これは税理士学校の日常を通して描かれる、ドキドキハラハラの物語!
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし作品!
真面目だけが取り柄の浩美と、ちゃらんぽらんに見える山里。
真逆な二人ですが、不真面目だと思っていた山里がトップクラスの成績だと知り、少しずつ自分を見つめ直していく浩美。
そして浩美は次第に彼のことが気になっていき……
税理士学校を舞台にした物語をぜひお楽しみください!