追放される前に国を出たら毎日が楽しいです! - 烏丸じょう
内容紹介
「……さて、エルヴィラ。まだ納得できていないだろうから、ちょっと説明をしよう。単刀直入に言えば、俺はお前の未来を知っている。そこからお前を救うために、養女にしたんだ」
「私を救う? なぜ見ず知らずの貴方が?」
「……見ず知らずではない。お前の家族も知らぬことだが俺はお前の縁者だ。血も繋がっているから安心しろ」
「血が繋がっている? 貴方は父か、母の親戚ということですか?」
エルヴィラはルクロドに感じた既視感に納得した。血縁者に感じる、どことなく誰かを思い出させる風貌なのだ。それもごく近い血の繋がりを感じさせるものだった。
「……まあそうだな。とにかく、お前はあの国に残っていては遠からず罪を犯し、果ては国外追放の上、狂い死にする未来だった。俺はその未来からお前を助けるため養女にしたんだ」
「? なぜ未来がわかるの? 魔導師だから?」
エルヴィラはルクロドの言葉を受け入れ難かった。罪を犯す? 国外追放? 狂い死に?
そんなことを言われても俄かに信じがたい。逆に自分を貶められたようで憮然とした。
「まあ、怒るな。ほらこれをお前にやろう。ここにお前の未来が綴られていた」
ルクロドは一冊の本を差し出した。それは少し古ぼけていたが、エルヴィラの日記帳にそっくりだった。
12歳の公爵令嬢エルヴィラは、2年前に母を亡くしてから王都の屋敷で孤独に暮らしていた。というのも、父親は離れた領地で、愛人と彼女との間に出来た娘の3人で暮らしていたのだ。
そんな孤独な日々を過ごしていたが、ある日、隣国から大魔導師ルクロドがやって来て、エルヴィラを養女にして魔導師の後継者にしたいと申し出た。
戸惑うエルヴィラに、ルクロドは一冊の古い日記帳を差し出した。それは、エルヴィラが毎日使っている日記帳とそっくりのものだった。
開いてみると、昨日の日付のページには、エルヴィラが昨夜書いたものと同じ内容が書かれていた。
どうやらこの日記帳には、これから起きるであろうエルヴィラの未来のことが書かれているらしく――。
これは孤独な少女が、大魔導師の後継者に選ばれて、幸せを掴む物語。
お義父様と呼ばれることを頑なに嫌がるルクロドの正体とは…!?
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
母を亡くし、後妻とその娘と暮らす父は離れて暮らしている。公爵令嬢という地位にありながら孤独な日々を過ごしていたエルヴィラは、ある日訊ねてきた大魔道師のルクロドによって未来を知ります。
大魔道師の後継者としての道を歩むことを決められたエルヴィラですが、肉親のいない屋敷での日々に比べ毎日が楽しく――
電子書籍版には書き下ろしの番外編を3本収録! 本編後のエピソードとなっており、未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!