出会い - まんぼう
内容紹介
駐車場から車を出そうとして、もう少しで人を跳ねる所だった。慌ててパニックブレーキを踏む。
フロントを見ると、若い女がこちらを睨んで何か口を動かしている。良く動く口だと思った。窓ガラスを下げると、その声が耳に入って来た
「あんたね、どこ見てるのよ! もう少しで轢かれちゃう処だったじゃない! 全くちゃんと目がついてるの? 見えないなら銀紙でも貼り付けておきなよ。なにさ左ハンドルの車なんか乗っちゃって……」
まだまだ何か言っていたようだが耳に入らなかった。
「すまん……全くもって俺が悪い……怪我は無かったか?」
俺の言い方が妙に落ち着いていたので、相手の女は面食らった様だった。
「だ、大丈夫だけどさ……気をつけてよね……本当に」
第18回星の砂賞 審査員奨励賞
ふとした事でであった男と女。二人は運命の糸が絡みあったように惹かれ合って行く……
コンテスト特別審査員・芥川賞作家の三田誠広先生より(抜粋)
現代のおとぎ話ともいえる出来過ぎたラブロマンス。とはいえ夢物語ではなく、もしかしたらこういうこともあるのでは、と思わせるだけのリアリティーがある。(中略)細部の描写がしっかりしているので安定感がある。その筆力で、ここで終わったかと思われるところからさらに話を発展させていく。最後まで楽しく読める作品に仕上がっている。
- 作者:まんぼう
- 発売日: 2020/05/25
- メディア: Kindle版