逆ハーエンドに興味はないので、本づくりに励んでいたところ、死ぬはずの王子に溺愛されました - 小乃マル

内容紹介
「この世界って、図書館ないよね?」
学術書の貸し出しをしている施設があるのは知っているけれど、確かそこは一定の地位にある人物しか使えなかったはず。前世の図書館のように、誰もが無料で本を借りられる施設については聞いたことがない。
この世界で本は高価だ。紙自体はそうでもないので、おそらく印刷技術が未発達なせいだろう。貴族である私ですら、両親にねだったら「誕生日にね」と言われてしまうくらいには値が張る。ましてや、庶民が簡単に手に入れられるような代物ではない。
でも私は、誰もが本を楽しめる場を作りたい。前世の私が本に救われたからだ。前世で孤独な時間を埋めてくれた本が、この世界でも誰かの役に立つかもしれない。
「図書館……つくろう!」
ゲームの世界への転生に気づいてからおよそ二十分後。ゲームとは全く関係のない方向に、私が新たな挑戦をすると強く決意した瞬間だった。
図書館をつくるにあたって、大きく二つの問題がある。
まず一つ目。この世界には、そもそも〈娯楽としての本〉というものが存在していないということ。絵本も小説もない。あるのは学術的な本ばかり。
もちろん、〈物語〉という概念はある。子どもは親から口述で昔話を聞かされるし、歌劇ではさまざまな演目が演じられている。でも、それらは老若男女が楽しめる身近な娯楽としての役割を果たしてはいない。
私が目指す図書館をつくるためには、まずは学術書ではない本を手に入れなくてはならない。異国にならあるかもしれないので、それを取り寄せるか、あるいは新たに作り出すか。
ある日、子爵令嬢のサラは、前世で一度だけクリアしたことがある、逆ハーエンドの乙女ゲームの主人公に転生していることに気がついた。
けれど、逆ハーエンドは性に合わなかったからなんとしてでも回避したい。
幸いなことに、ゲームの開始時点までまだ少し余裕があることに気づいたサラは、あることを決意する。
「図書館……つくろう!」
この世界には図書館がない。本は高価だけれど、この世界で誰もが楽しめる場を作りたいと、ゲームとは全く関係のない方向に挑戦をすることを強く決意したのだった。
しかしこの思いつきの影響で、ゲーム内では序盤に亡くなるはずの第一王子の命が助かり、サラは彼から好意を寄せられることになる。
これは、前向きに生きるサラが周囲を巻き込みたくさんの愛を受け、全ての人間が幸せになる『原作を超えたハッピーエンドの世界』を作っていく物語。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
逆ハーエンドの乙女ゲームに転生していることに気づいた子爵令嬢のサラ。
逆ハーレムに興味は無いので、ゲームとはまったく関係ないこと──図書館づくりをすることにした彼女でしたが、巡り巡ってシナリオでは序盤に死亡するはずの王子の命が助かることになり……
電子書籍版には書き下ろしの番外編を2本収録! 未読の方はもちろん、WEB版をお読みの方もぜひお楽しみください!
