花束よりも君が欲しい - 永良サチ
内容紹介
ミケ先輩は猫みたいな人だった。
自由気ままでつねにマイペース。甘え上手でありながら、目を離すとべつの場所に行ってしまう。なんにも興味がないように見えても自分のテリトリーだけはしっかりと守っていた。
私はその一線を越えることができずに、何度寂しく思っただろうか。
先輩と暮らした八カ月間は、まるで風で運ばれてしまうシャボン玉のようであり、すぐに消えてしまう花火のようでもあった。
なんにも知らなかった十九歳だったけれど、私はあなたに恋をした。
そして今も探している。
〝ありがとう〟という言葉だけを残していなくなったミケ先輩のことを――。
――「隣にいたのが誰でも良かったんだとしても、私は残念ながら幸せだったんです」
親に反対されながらも東京の大学に進学した夢は、不器用に東京での生活を送っていたが、ある日バイト先で同じ大学の先輩である孝介と出逢う。
みんなから“ミケ”と呼ばれ、その顔面偏差値の高さとクールさから人気者だった孝介。根なし草のような生活をしていたミケのことをひょんな理由で預かることになり、その日から夢の家でふたり暮らしが始まる。
掴みどころがなく、自由奔放のミケに最初は悩まされていた夢だったが、その優しさに触れて恋に落ちていく。徐々に心を通わせて惹かれ合っていくふたりだったが、ミケには誰にも言えない悲しい過去が隠されていた……。
十代最後の夏。夢の心の成長がミケの未来を変えることになるのか。切なくて狂おしい。ラストはじんわりと心あたたまる純愛物語!
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし!
十代最後の夏を舞台にした大学生の恋愛作品です。
猫みたいにマイペースなミケ先輩のことをどうしても嫌いになれない夢。
ミケの優しさと、ときおり見せる影のある様子に夢は徐々に惹かれていきます。
不器用ながらも歩み寄ろうとする夢ですが、ミケはある過去の出来事に囚われていて……
二人の行く末は!? ぜひお楽しみください!