王宮侍女シルディーヌの受難 - 涼川凛
内容紹介
「ほう……留守中、この俺の部屋に忍びこむとはいい度胸だ」
背後から地の底から響くような低い声が聞こえてきて、シルディーヌの体が一瞬で縮みあがった。
あまりにも恐ろしくて、振り向くこともできやしない。
「ここは立ち入り禁止であり、軍の機密が詰まった騎士団長の部屋でもある。なにをしていた。相応の覚悟はできているのか」
そう言いながらすらりと剣を抜くような音がした。
「女だから容赦するほど、俺は甘くない」
「ま、ま、ま、待って、くださいっ!」
やっぱり血も涙もない恐ろしさ。
──このまま黙っていたら、背中をバッサリ斬られちゃう!
シルディーヌは自らを奮い立たせるようにモップを握りしめ、思い切って振り返った。
ある事情があり、王宮で働くことにした子爵令嬢のシルディーヌ。初仕事の日、立ち入り禁止と言われていた宮殿に間違えて入ってしまう。そこは、国防の要である黒龍騎士団の本部で、一番会いたくない幼馴染である騎士団長のいるところ。
これは大変! 見つかる前に外に出なければ! と慌ててこっそり出ようとするが、すでに遅く。
「ほう……俺の留守中に忍び込むとはいい度胸だ」
あろうことかスパイ容疑をかけられて尋問される羽目になり、スパイじゃないことをシルディーヌは訴え続ける。
すると、「仕方がない。お前が俺の言うことを聞くなら、見逃してやらんこともない」と言われてしまい、シルディーヌは悩んだ末に承知するが……。
そそっかしい子爵令嬢シルディーヌと幼馴染みのドSな騎士団長アルフレッドが織りなす恋の物語。
編集部より
人気ファンタジー作品がミーティアノベルスから登場!
婿探しのために王宮侍女となったシルディーヌ。
かつて意地悪ばかりしてきた幼馴染のアルフレッドは騎士団長になっていて、掃除をしていたら部屋に迷い込んでしまったシルディーヌはスパイ容疑をかけられてしまいます……が、必死なのはシルディーヌだけでシリアスな感じではありません!笑 素直じゃないアルフレッドにやきもきすることうけあいです!
約12万字超のボリュームで送る、王宮侍女と騎士団長の物語をぜひお読みください!