神様、回復魔法を頼んだはずなのにこれ開腹魔法なんですけど!? - 榎木ユウ
内容紹介
「いいね、いいね! 了解しました。それじゃあ、転生特典としてユニークスキルを付与します! 何がいい? 魔法でも肉体強化でも何でもいいよ! ユニークというだけあって、普通の魔法や肉体強化よりはずっとすごいやつだよ!」
「それなら、回復魔法がいいです」
すぐに風花はそう答えた。
「いつも手術ばかりで大変だったから、生まれ変わるなら、そういう苦労をしない魔法が欲しい」
「手術って……ああ、ああいうのね。大変なんだねぇ! 分かった、大丈夫、任せて!」
神がポンと己の胸を叩いた。
「私は君が転生したら何も手助け出来ないけれど、魔法の知識とか、世界の知識諸々は頭の中に一般常識レベルまでは注入しておくから! 私、すごい神様だからね!」
何度も自分を『すごい神様』と言う神が、果たして本当にすごいのか。
不安しかないが、どうせ死んでいた人生なら余録として割り切ろうとも思う。
神は風花の前に立つと右手をかざし、澄み切った声で告げる。
「では、フーカナナカワに、アーズフードの祝福を。そなたにカイフク魔法を授けよう 」
(ん――?)
何か、何か少し 違う気がしたが、神にそれを問いかける前に、まばゆい光が風花を包んでいく。
病気がちだった少女が異世界に転生するときに神様にお願いしたのは、『回復魔法』でした――
ある日、若くして亡くなったフーカは、神様の甘言に乗り、異世界転生を決意する。転生特典としてユニークスキルをもらえると言われ、フーカは、「回復魔法」を神様にお願いした……が、転生した彼女についたユニークスキルは「開『腹』魔法」!?
『かいふく』違いなんですが! と思えども、すでに転生後だったため、やり直しもきかないのが人生。
詰んだ……! と絶望した彼女に舞い込んできたお仕事は、冒険者たちの狩ってきた魔物を解体する『魔物解体士』のお仕事だった。
腹裂きクイーンだなんてありがたくもない異名を手に入れつつも、なんとか異世界で平和に暮らしていたはずなのに、不気味なシリアルキラーが現れたり、外科手術大好き美形マッドサイエンティストが絡んできたり、フーカの転生後生活はちっとも落ち着かない! そもそもなんで、回復と開腹を間違えたんだ、神様!!!!!
編集部より
ミーティアノベルス完全書き下ろし作品!
もうなにより、飛び込んでくる「開腹魔法」の字面のインパクトがすごいです!笑
「回復魔法」ならば傷ついた人を助け、しまいには聖女なんて呼ばれたりして……と想像できますが、しかし得た力は文字通り腹を割く「開腹魔法」です。
そんな「カイフク」違いなヒロインのフーカですが、力を活かした「魔物解体師」として異世界で逞しく生きていきます。
変人に絡まれ、バイオレンスな事件も起き、果たしてフーカのもとに平和で穏やかな暮らしは訪れるのか!? テンション高めな異世界物語をぜひお読みください!