似たもの同士- ST
内容紹介
俺はこの辺りに棲み付いてる野良猫さ。
歳? そんなもの猫に訊いたって知ってるわけないだろう?
まあ、血気盛んな若い頃、尻を追い回した美猫の三毛が婆さんになってるから、俺もいい歳なんだろうな、近頃じゃ力もすばしっこさもすっかり影を潜めちまって、脚なんかシクシクと痛みやがる……。
物心ついたころからずっとこの辺りだから、今更別の土地へ移ろうとも思わないんだが、近頃この辺りも野良猫にとっちゃ住みにくくなってる。
第3回ショートショートコンテスト 優秀賞受賞作品
『似たもの同士』
人生も3/4を過ごしてしまうと、こんな気持ちも分かるようになって来るんですよ。
編集部より
年老いた野良猫のジャックと、古いアパートで一人暮らしのお爺さん。
年老いた者同士、自分の生きざまを振り返り、自分の死を悟る、年長者の友情。
若いうちには語れない、「生きる」ことと「死ぬこと」への達観。
猫のジャック視点で語られる、人生について考えさせられるショートストーリー。