ルームシェア- 長月竜胆
内容紹介
ある日、私の経営する不動産屋に、妙な客が訪れた。
「ワケあり物件を探しているんですが……」とのこと。
神経質そうにちょくちょく眼鏡をいじくり、いかにも変わり者といった感じの若い男だった。
まあ、そもそもまともな人間ならば、そんな要望をぶつけてくることもあるまい。面倒な来客を相手に、私は早くもうんざりしていた。
実を言えば、たまにこういう客はいるのだ。怖いもの見たさの馬鹿者とか、怪しい雑誌の記者とか、やはりその手の話目当てでやってくる。客のふりをしていても、結局はただ話を聞くだけで、実際に契約までこぎつけたことは一度もなかった。
目の前の男は、そういう輩とは少し違うようだが、迷惑な客であることには違いない。さしずめオカルトマニアとでも言ったところだろう。雰囲気から何となくそう思った。
「あの、冷やかしのつもりでしたらちょっと……」
むげに追い返すわけにもいかず、ひとまず様子をうかがってみると、男はムキになって言い返してくる。
「いえ、本気ですよ。特に、幽霊の出るところを探しているんです」
第4回ショートショートコンテスト~ホラーコン~ 優秀賞受賞作品
『ルームシェア』
怖いようで怖くない。
怖くないようで少し怖いかもしれない。
そんなエンタメ系ショートショートのホラー作品です。
あらすじ
「ワケあり物件を探しているんですが」と不動産屋に現れた若い男。寂しがり屋であるが煩わしい人間関係も避けたいという男は、幽霊と同居生活をしたいと考えていた。初めは渋っていた店主も、ついには根負けし、内密にという条件で幽霊屋敷を紹介することに。ところが、ある日、噂を聞きつけた別の客が店に現れ……。
編集部より
事故物件を探し求める男。
そんな男にある事故物件を紹介するがそれがきっかけで……。
ホラーが苦手な人でも読めるホラー小説。案外ホラーが好きになるかも……?
- 作者: 長月竜胆
- 出版社/メーカー: ネット文庫星の砂
- 発売日: 2019/09/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る