かぼちゃ の はなし- 立花 宗治
内容紹介
少女は今年で十歳。
少女が住む村には小さな子どもは少女しか居ません。
みんな、病や飢餓でいなくなってしまったのです。
その少女が生まれるよりずっと前から、三つの大きな国が戦争をしていました。
少女が住む村は三つの中の、ひとつの国の支配下にあって、兵士たちがよく訪れます。
兵士が来ると、大人達は身を縮めて言うのです。
「ほら、悪魔どもが私達の命を盗りに来た……」
兵士たちは少女や少女の両親、隣の老夫婦、もっと隣の若い夫婦が丹精込めて作った野菜を根こそぎ持って行ってしまいます。
少女たちだけではありません。
村中の、全部の家の野菜や干し肉を持っていくのです。
……
第12回星の砂賞 審査員特別賞受賞作品
『かぼちゃ の はなし』
戦争により、苦しむ村が増える中。
ひとつの村が無くなってしまいそうな危機を迎える。
食糧は全て兵士がさらってゆき、村人たちは空腹で死んでしまいそうだった。
その村で、ひとりの少女が、不思議なかぼちゃと出会った。
編集部より
戦争で苦しむ小さな村。幼い少女は森の中で不思議なかぼちゃと友達に。
激化する戦争の中、少女とかぼちゃは小さな約束を交わした。
悲しい物語の中で芽生えた二人の小さな友情。
切なくて悲しい、けれど、あたたかい、小さなおはなし。